Soli Deo Gloria

主なる神の言葉である聖書を、あらゆる事柄に関する最高権威、人生における規範とし、イエス・キリストを主とする神の国(支配)の拡大と完成を願っています。

聖書研究 テモテへの手紙二4章9~22節

聖書研究 テモテへの手紙二4章9~22節(新共同訳 新約p.395)

(1) 個人的な指示(9~18節)

 パウロは「ぜひ、急いでわたしのところへ来てください」(9節)とテモテに願った。当時、冬の航海は非常に危険を伴った(使徒言行録27章9~44節)。そのため、自分の弟子であり、同労者であったテモテと、冬が来る前に会いたいと望んだ(21節)。その際、パウロは「トロアスのカルポのところに置いてきた外套」と「書物」を持って来て欲しいと頼んでいる(13節)。ここで言われている「書物」とは聖書(旧約聖書)のことである。獄中にあってパウロはもう一度聖書を読みたいと願った。
 また、パウロはこれまでに出会った人々のことを想い起こしている。「デマス」は、「この世を愛し」たために、パウロを途中で「見捨ててテサロニケに行って」しまった(10節)。「見捨てて」と訳されているギリシア語(ἐγκατέλιπεν [enkatelipen])の原形ἐγκαταλείπω [egkataleipó]は、「残す」「捨てる」「去る」を意味する。この世の誘惑に打ち勝つことが出来ず、彼はパウロのもとを去り、信仰を捨ててしまった。デマスがパウロとどれほど親しかったかは分からないが、名前を挙げてテモテに知らせていることから、一緒に主に仕えてきた同労者であることが窺える。また、「クレスケンスはガラテヤに、テトスはダルマティアに行っている」(10節)ため、パウロの傍にはいなかった。
 この時パウロと一緒にいたのは「ルカ」だけであった(11節)。ルカは医者で(コロサイの信徒への手紙4章14節)、パウロと共に福音を宣べ伝えてきた。使徒言行録16章、20章、21章、26章の「わたしたち」の中には、著者のルカも含まれている。パウロが獄中にいた時も、ルカはずっとパウロを見守っていた(フィレモンへの手紙24節)。
 また、パウロはテモテに「マルコを連れて来てください」と願っている(11節)。マルコは、「バルナバのいとこ」(コロサイの信徒への手紙4章10節)で、パウロの第1次宣教旅行にも同行したが、途中でエルサレムに帰ってしまい(使徒言行録13章13節)、パウロを失望させた。第2次宣教旅行の前に彼の同伴をめぐってパウロバルナバは激しく衝突し、2人は別々に伝道することになってしまった(同15章37~39節)。マルコに対してパウロは否定的な評価を下していた。しかし、その後マルコは、バルナバの指導の下、熱心に福音伝道に励んできた。パウロも成長したマルコを「わたしの協力者」(フィレモンへの手紙24節)と呼び、「わたしの務めをよく助けてくれる」(11節)と高く評価するようになった。
 一方、パウロは「銅細工人アレクサンドロ」(14節)に「用心」(15節)するよう、テモテに警告を与えている。パウロの伝道によって回心したエフェソの住民は偶像を捨てた(使徒言行録19章26節)。それに対し、銅製の偶像を作ることで生計を立てていたアレクサンドロは、パウロを「ひどく苦しめ」(14節)、彼の「語ることに激しく反対した」(15節)。パウロは、自らの手で報復せず、全てを主なる神の御手に委ねた(14節、申命記32章35節、ローマの信徒への手紙12章19節、ペトロの手紙一2章23節)。
 パウロは、最後まで自分を助け、導いて下さる方は主なる神以外にはおられないと信じていた。人は愛する対象ではあっても、信仰の対象にはなり得ない。裁判における「最初の弁明のとき」、パウロを弁護し、助けてくれる人は誰もいなかった(16節)。仲間が一人、また一人と離れていき、パウロは孤独の中にいた。しかし、パウロは、彼を見捨てた人々、彼を裏切った人々に対して怒る代わりに、「彼らにその責めが負わされませんように」(16節)と祈っている。パウロがそのように祈ることが出来たのは、主なる神が彼と共におられたからである。
 主なる神は、イエス・キリストを通して、パウロを「天にある御自分の国へ救い入れ」(18節)られた。そして、パウロを通して「福音があまねく宣べ伝えられ、すべての民族がそれを聞くようになるために」、いつもパウロの「そばにいて、力づけ」られた。「獅子の口から救われ」(17節)るなど、パウロを「すべての悪い業から助け出」(18節)された。自分を救い、常に守り、必要な助けを与えて下さった主なる神に対し、パウロは「主に栄光が世々限りなくありますように、アーメン」(18節)と讃美と感謝を献げた。

(2) 結びの言葉(19~22節)

 パウロは自分の働きを助けてくれた人々の名前を挙げている。まず「プリスカとアキラに、そしてオネシフォロの家の人々によろしく伝えてください」(19節)とテモテに頼んでいる。プリスカとアキラの夫妻については、パウロは別の手紙でも「命がけでわたしの命を守ってくれた」と感謝の気持ちを表している(ローマの信徒への手紙16章3~4節)。オネシフォロも、パウロが牢に入れられたことを決して恥とは思わず、獄中のパウロを訪ね、「しばしば励まし」(1章16節)た人物であった。
 また、「エラスト」(20節)は、「市の経理係」(ローマの信徒への手紙16章23節)として働く一方で、パウロに忠実に仕えてきた(使徒言行録19章22節)。病気になったために「ミレトスに残して」きた「トロフィモ」にも宜しく伝えて欲しいとパウロは述べている(20節)。また、「エウブロ、プデンス、リノス、クラウディア、およびすべての兄弟」も、テモテに「よろしくと言って」いることを伝えた(21節)。
 最後に、パウロは「主があなたの霊と共にいてくださいますように。恵みがあなたがたと共にあるように」(22節)というテモテに対する祈りをもって手紙を結んでいる。