Soli Deo Gloria

主なる神の言葉である聖書を、あらゆる事柄に関する最高権威、人生における規範とし、イエス・キリストを主とする神の国(支配)の拡大と完成を願っています。

聖書の黙想と適用 ルカによる福音書23章1~12節

聖書の黙想と適用 ルカによる福音書23章1~12節(新共同訳 新約p.157)

(1) ピラトから尋問される(1~7節)

 最高法院の議員達は、イエス・キリストローマ帝国の総督ピラトのもとに連れて行き、「この男はわが民族を惑わし、皇帝に税を納めるのを禁じ、また、自分が王たるメシアだと言っていることが分かりました」(2節)と告発した。ローマ帝国は、植民地の宗教問題には一切干渉しないという方針をとっていた(使徒言行録18章15節、23章28~29節)。そのため、議員達は、最高法院では宗教的な問題として議論したのに対し、ピラトには政治的な問題として訴えた。
 訴えを受けて、ピラトがイエス・キリストに「お前がユダヤ人の王なのか」と尋問すると、イエス・キリストは「それは、あなたが言っていることです」とお答えになった(3節)。イエス・キリストは、主なる神がダビデに約束された永遠の王国を建てる方であられる(サムエル記下7章11~16節)。しかし、イエス・キリストが王であられる神の国は、政治的・軍事的な手段によってではなく、イエス・キリストが十字架にかかられ、サタンと罪と死に勝利されたことによってこの世に臨んだ。そして、この国はイエス・キリストが再び来られる時に完成する。その間、イエス・キリストは、ご自分の民を集め、神の国の幸いをお与えになられる。
 尋問の結果、イエス・キリストローマ帝国への反乱を企てたわけではないことが分かったので、ピラトは祭司長や群衆に「わたしはこの男に何の罪も見いだせない」(4節)と宣言した。イエス・キリストは罪のない正しい王であられる。聖霊によってお生まれになった時から「聖なる者」(1章35節)であられた。この世の歩みにおいては罪を犯されず、律法を完全に守られ、主なる神の御心に全て従われた。聖書はイエス・キリストが正しい方であられることを繰り返し証言している。全く正しい方であられるが故に、イエス・キリストは十字架で他の人の罪を贖うことが出来た。
 にもかかわらず、祭司長や群衆は「この男は、ガリラヤから始めて、この都に至るまで、ユダヤ全土で教えながら、民衆を扇動しているのです」(5節)とピラトに強く迫った。ピラトは、イエス・キリストが罪のない方であることを認めながらも、それ以上に自分の地位を守ることを優先した。そのため、ユダヤ人の要求を退けることも、イエス・キリストを罪に定めることもしないまま、「当時、エルサレムに滞在していた」ガリラヤの領主ヘロデに責任を押し付けた(7節)。
 イエス・キリストは、ご自分を訴え、陥れ、殺そうとする者の罪を贖うために、十字架で代わりに死なれた。完全な義であられるイエス・キリストを私達が自分の主としてお迎えし、その御前にひれ伏す時、主なる神はイエス・キリストの義を私達のものと見なして下さる。それによって、私達は罪人であるにもかかわらず、主なる神の御前で義なる者として立つことが出来る。

(2) ヘロデから尋問される(8~12節)

 ヘロデはイエス・キリストの奇蹟に関する噂を「ずっと以前から」聞いていた。そのため、イエス・キリストを見ると非常に喜んだ(8節)。といっても、彼は裁判を正しく行うことには全く関心がなかった。好奇心からイエス・キリストが「何かしるしを行うのを見たいと望んでいた」(8節)だけであった。ヘロデ自身、イエス・キリストを殺そうとしたことがあった(13章31節)。
 ヘロデの尋問に対し、イエス・キリストは「何もお答えになら」ず、沈黙を貫かれた(9節)。そのため、ヘロデと彼の兵士達は、イエス・キリストを「あざけり、侮辱したあげく、派手な衣を着せてピラトに送り返した」(11節)。福音書記者ルカは「この日、ヘロデとピラトは仲がよくなった」と記している。ヘロデとピラトは「それまでは互いに敵対していた」(12節)。また、大祭司を頂点とする最高法院の議員達は、ユダヤ社会の特性上、ユダヤ人に広範な影響力を持っていたが、それ故にピラトともヘロデとも微妙な関係にあった。しかし、イエス・キリストを前にして三者は一時的に接近した。
 この間、イエス・キリストは、何の抵抗もなさらず、弁明もなさらなかった。イエス・キリストは王としてこの世に来られたが、あらゆる嘲弄と辱めと苦痛を受けられた。万物を治める神の独り子であるにもかかわらず、ヘロデや兵士達の嘲弄と苦痛を、何も言わずに黙々と受けられた。その姿はまるで「屠り場に引かれる小羊」(イザヤ書53章7節)のようであった。しかし、主なる神は、そのようなこの世の権力者の打算と陰謀をも、イエス・キリストによる救いの御業に用いられた。