Soli Deo Gloria

主なる神の言葉である聖書を、あらゆる事柄に関する最高権威、人生における規範とし、イエス・キリストを主とする神の国(支配)の拡大と完成を願っています。

聖書研究 民数記31章1~12節

聖書研究 民数記31章1~12節(新共同訳 旧約pp.267-268)

【概要】
 主なる神は、ミディアン人から受けた仕打ちに報復するよう、モーセに命じられた。モーセは、イスラエルの各部族から千人ずつ選び出し、総計1万2千人を戦いのために武装させた。この時、祭司エルアザルの子ピネハスに聖なる祭具と出陣に吹くラッパを持たせて送り出した。彼らは主がモーセに命じられた通り、ミディアン人に報復し、王達やベオルの子バラムなど、男子を皆殺しにした。

【歴史的背景】
戦争と戦利品
 古代の戦争は非常に過酷であった。戦いの勝利者は、征服した町を焼く前に徹底的に略奪した。家畜、戦って倒れた兵士の所持品など、価値あるものは全て奪った。
 戦利品を得る喜びが、兵士達に命を懸けて戦わせる原動力であった。当時の兵士達には月給がなく、戦利品を報酬と考えたからである。聖書には、主なる神がバビロンの王ネブカドレツァルに「エジプトの土地を与える。彼はその富を運び去り、戦利品を分捕り、略奪をほしいままにする」と約束されたことが記されている(エゼキエル書29章19節)。

【釈義】
1~3節 ミディアン人から受けた仕打ちに報復しなさい
 26~30章によって中断されていた25章の話が、31章から年代に沿って再開する。その後、最後の章まで族長達に約束された地に入るために備えるイスラエルが描かれている。
 31章の内容はこれまでにも扱われている。ミディアン人に対する報復(2~3節)は25章16~18節、死が近づいたモーセ(2節)は27章13節、戦いでのラッパの使用(6節)は10章2~10節、殺されたミディアン人の王ツルは25章15節、ベオルの子バラム(8節、16節)は22~24章、ペオルの事件(16章)は25章1~9節、死体に触れた後の清め(19~24節)は19章11~19節、祭司やレビ人に対する主なる神への献納物の分配(28~47節)は18章8~32節、主なる神への献げ物(48~54節)は7章と28~29章で扱われた。それだけでなく、3~5節と26節、32~47節に出てくる兵士の数と戦利品の調査は、1~4章と26章の人口調査を思い起こさせる。即ち、31章は、これまでの内容を要約し、結論付ける役割をしている。
 本章は、25章で完結されなかったミディアンとの戦いを描いている。25章でイスラエルは、モアブとミディアン人に誘惑されて、ペオルのバアルという偶像を拝み、またモアブとミディアン人の女に誘惑されて性的関係を持った(25章1~15節)。主は、陰謀によってイスラエルを偶像礼拝と不道徳な淫行に陥らせたミディアン人を撃つように命じられた(25章16~18節)。ミディアン人が犯した罪の深さは、「イスラエルの人々がミディアン人から受けた仕打ちに報復しなさい」という主の命令によく表れている(2節)。
 しかし、本文は戦いそのものよりも祭儀に注目している。聖なる戦いの観点から、本章は次のように区分出来る。第一にミディアンとの戦い(1~12章)、第二に敵を聖絶する戦い(13~18節)、第三に戦いから帰還した兵士の清めに関する定め(19~24節)、第四に戦利品の分配(25~47節)、第五に主なる神への指揮官の献げ物である(48~54節)。結果的に本章は、カナンの地での戦いの後に生じる諸事の見本を提供している。
 ミディアンとの戦いは、主なる神がモーセにミディアン人に報復するよう命じることによって始まる(1~2節)。主なる神は、ミディアン人がペオルでイスラエル人を誘惑した代価として、彼らの聖絶を命じられた。主なる神は、モーセが死を迎える前に、この戦いを必ず行うよう命じられた(2節、27章12~13節)。「ペオルの事件」は、ミディアン人の女が「バラムに唆され、イスラエルの人々を主に背かせて引き起こしたもの」であった(16節)。この戦いはイスラエルに対して夫のような主なる神が、イスラエルを誘惑したミディアン人を罰することによって「主のために報復する」戦いであった(3節)。即ち、人間的な感情や復讐のためではなく、主なる神の主導の下でミディアン人を裁き、「受けた仕打ちに報復する」〈聖なる戦い〉であった。

【黙想】
 主なる神がモーセに与えられた最後の任務は、イスラエルを罪に陥れたミディアンを撃つことであった。主なる神は、イスラエルの男子が、ミディアン人の女に誘惑されてバアルの祭儀に加わり、淫行をしたことに対して(25章1~9節)、報復するよう命令を下された。これは恨みを晴らすなどということではなく、悪に対する主なる神の裁きである。主なる神は既にミディアン人を撃って滅ぼすように命じられている(同17節)。その命令を実行するよう、モーセに求められたのである。ミディアン人の女との淫行、バウルの偶像への礼拝の結果として、イスラエルに2万4千人の犠牲者が出た(同9節)。その時、ピネハスの熱情がなかったら、更に多くの人々が死んでいただろう。主なる神は悪を決して放置されない。主なる神は、ミディアン人を滅ぼすことにし、ミディアン人の陰謀の中心に立っていたバラムという偽預言者も許さない。
 各部族から千人ずつ選び出された1万2千人のイスラエルの兵士達は、ミディアン人の男子を皆殺しにし(7節)、ミディアン人の5人の王と偽預言者バラムを滅ぼした(8節)。主なる神は、イスラエルの民がミディアンを滅ぼし尽くすことで、過去に犯した罪を確実に断ち、約束の地に罪を引きずることなく入れるようにされた。罪の過去を整理しないなら、その過去が足を引っ張るからである。

【適用】
 過去に縛られる必要はないが、罪を正しく省みず、うやむやにしてしまうのでは、未来に正しく向かえない。過去の罪を主なる神の言葉によって照らし出されて悔い改め、償うべきことは償うべきである。そうして罪から自分自身をきっぱりと切り離し、主なる神の言葉に従うなら勝利出来る。

【祈り】
 主よ、あなたの言葉に耳を傾けることで、私の中のミディアン人に立ち向かい、私の中のバラムを撃たせて下さい。あなたと敵対するような全ての罪を捨て、あなたの言葉と祈りという霊の武器によって勝利することが出来ますように。