Five Solas

主なる神の言葉である聖書を、あらゆる事柄に関する最高権威、人生における規範とし、イエス・キリストを主とする神の国(支配)の拡大と完成を願っています。

F. A. Hayek New Studies in Philosophy, Politics, Economics and the History of Ideas Socialism and Science

F. A. Hayek New Studies in Philosophy, Politics, Economics and the History of Ideas Socialism and Science
【関心・疑問】

【論文名】
Ⅱ 社会主義と科学 (太子堂 正称訳)

【著者名】
F. A. Hayek (中山 智香子, 太子堂 正称, 吉野 裕介訳)

【書名・(巻・号)・出版社・出版年・(版)】
New Studies in Philosophy, Politics, Economics and the History of Ideas, Chicago: University of Chicago Press, 1978
(『思想史論集』ハイエク全集; 第2期第7巻, 東京: 春秋社, 2009年)

【本文の構成】
第1部 設計主義の源流
 Ⅰ 行為の結果ではあるが、設計の結果ではないもの
 Ⅱ 社会主義と科学
 Ⅲ フランシス・ベーコン――科学主義の創始者
第2部 イギリス自由主義の伝統
 Ⅳ 医学博士バーナード・マンデヴィル
 Ⅴ デイヴィド・ヒュームの法哲学と政治哲学
 Ⅵ アダム・スミスのメッセージ
 Ⅶ ジョン・スチュアート・ミル――二十代半ばの頃
 Ⅷ ジョン・スチュアート・ミルとハリエット・テイラー
第3部 ウィーンの経済学と哲学
 Ⅸ オーストリア学派の経済学
 Ⅹ カール・メンガー
 Ⅺ 経済思想史におけるカール・メンガー『原理』の地位
 Ⅻ フリードリッヒ・フォン・ヴィーザー
 XIII ルートヴィヒ・フォン・ミーゼス――覚え書きと回想
 XIV エルンスト・マッハとウィーンの社会科学
 XV ウィーンから見た一九二〇年代の経済学
 XVI 遠縁の従兄ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインの思い出

【内容の要約(ページ数)】

【引用したい文章(ページ数)】
 ここまで議論してきた三つの問題にたいする解答は、特定の価値判断に依存するものではない。最初の問題にたいする解答は例外であり、そこでは特定の価値(個人的自由や責任)が前提とされていたが、そうした価値は、そうした問題について議論することを好む個人すべてに共有されていたと考えることができるだろう。基本的な問題とはつねに、社会主義が約束したものを達成できるかどうかであった。このことは純粋に科学的な問題であり、その答えが、自らの答えの正当性を厳密には描写できないところにある程度依存しているとしてもである。しかし、われわれが三つの説明すべてについて到達した答えはまったく否定的なものである。社会主義は、道徳的な側面については、個人的自由や責任といったあらゆる価値の基礎を破壊せずにはいられない。政治的な側面については、遅かれ早かれ全体主義政府へといたる。物質的な側面においては、現実に改善をもたらさずに、富の産出を阻害するであろう。社会主義にたいするこれらの反論すべては、ずっと以前には純粋に知的な根拠をもとに生まれ、時が立つにつれ精緻化され洗練されていった。社会主義にたいするこうした反論を理性的に論破しようというまともな試みは存在しなかった。(邦訳pp.33-34)

 そうした粗雑な努力は、社会主義者の知的立場の脆弱性がもたらす当然の結果であるように私には思える。きわめて一般的なこととして、社会主義者の反批判はその議論よりも、著者の信用を傷つけることに往々にして関心があるように思える。反批判としてのお気に入りの戦術は、若者に著者やその本を真面目に受けとらないように警告することである。おかげで、この技術はある種の名人芸の域に達している。たとえば、どんな若者が私の『自由の条件』のような本を真面目にとって思い悩むであろうか。「進歩的な」イギリスの政治科学のお偉い教授から、そのような本は「まるで自然淘汰を受けなかったように、時々あらわれる恐竜」の一つであると、彼は聞かされているのである。その原則は一般に、「その議論を論破できないならば、著者の名誉を傷つけよ」というもののように思える。これらの左翼の知識人は、対立する議論が誠実で、廉直で、場合によっては正しいものであるかもしれないということを、一つの可能性としてすら考える用意がないように思える。その理由は、そうしてしまったら、彼ら自身がまったく誤っているということを意味するからであろう。(邦訳p.35)

【コメント】