Five Solas Ministry

主なる神の言葉である聖書を、あらゆる事柄に関する最高権威、人生における規範とし、イエス・キリストを主とする神の国(支配)の拡大と完成を願っています。

F. A. Hayek New Studies in Philosophy, Politics, Economics and the History of Ideas Adam Smith’s Message in Today’s Language

F. A. Hayek New Studies in Philosophy, Politics, Economics and the History of Ideas Adam Smith’s Message in Today’s Language
【関心・疑問】

【論文名】
Ⅵ アダム・スミスのメッセージ (太子堂 正称訳)

【著者名】
F. A. Hayek (中山 智香子, 太子堂 正称, 吉野 裕介訳)

【書名・(巻・号)・出版社・出版年・(版)】
New Studies in Philosophy, Politics, Economics and the History of Ideas, Chicago: University of Chicago Press, 1978
(『思想史論集』ハイエク全集; 第2期第7巻, 東京: 春秋社, 2009年)

【本文の構成】
第1部 設計主義の源流
 Ⅰ 行為の結果ではあるが、設計の結果ではないもの
 Ⅱ 社会主義と科学
 Ⅲ フランシス・ベーコン――科学主義の創始者
第2部 イギリス自由主義の伝統
 Ⅳ 医学博士バーナード・マンデヴィル
 Ⅴ デイヴィド・ヒュームの法哲学と政治哲学
 Ⅵ アダム・スミスのメッセージ
 Ⅶ ジョン・スチュアート・ミル――二十代半ばの頃
 Ⅷ ジョン・スチュアート・ミルとハリエット・テイラー
第3部 ウィーンの経済学と哲学
 Ⅸ オーストリア学派の経済学
 Ⅹ カール・メンガー
 Ⅺ 経済思想史におけるカール・メンガー『原理』の地位
 Ⅻ フリードリッヒ・フォン・ヴィーザー
 XIII ルートヴィヒ・フォン・ミーゼス――覚え書きと回想
 XIV エルンスト・マッハとウィーンの社会科学
 XV ウィーンから見た一九二〇年代の経済学
 XVI 遠縁の従兄ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインの思い出

【内容の要約(ページ数)】

【引用したい文章(ページ数)】
 個人は「その理解力の狭隘さ」にもかかわらず、自らの知識を自らの目的のために使用するのを許されることで(スミスは「自らの利益を、平等、自由、正義の自由な計画の基礎のうえで、自らのやり方で追求する」と書いている)、その人が知ることのできる範囲をはるかに超えた世界にいる人びととそのニーズのために奉仕し、またそれらの人びととその技能をもちいることができるようになるのである。たしかに大きな社会が可能となったのは、個人が自らの努力を、目に見える欲望にたいしてではなく、価格シグナルが示すような、支出以上の収入を獲得する可能性にたいして向けることによってであった。大規模な商業中心地が豊かになったやり方によって、個人は、その隣人の認識可能なニーズと能力でガイドされる場合以上に大きなニーズに奉仕し、多くの財を生産できることがわかったのである。(邦訳p.104)

 アダム・スミスが利己主義を説いたというのは誤謬である。スミスの中心的な主張は、増大した生産を個人がいかに使用すべきかについて語るものではなく、またその同感とは、その増加した所得が仁愛をもってもちいられることにかかわっている。彼は人びとが社会的生産物にできるだけ多くの貢献を果たすことが可能になるための方策に関心をもち、そのためには、彼らのサービスがその受け手にとってどれだけの価値を有するかによって支払われることが必要である、と考えていた。しかし、彼の教説は、何十万年ものあいだにわたって続いた群居あるいは部族時代の対面社会の時期に形成され、人類が開かれた社会の段階に進んだ後も、依然として人びとを支配する深く根づいた本能に背くものであった。これらの前代から継承された本能が要求するのは、人間は自分の知っている仲間たち(聖書にいう「隣人」)のために目に見える善を成すように心がけなければならないということであった。(邦訳pp.104-105)

 これらはいまでも、「社会的正義」の名のもとに、あらゆる社会主義者の要求を支配し、また、あらゆる善良な人びとの共感を容易に獲得している感情である。しかし、それは、今日の西側世界に居住するあらゆる人びとがその一般的な富の水準を負っている開かれた社会とは相いれない。(邦訳p.105)

 ニーズや貢献に従ってさまざまな人びとや集団に物質的富の分配を割りあてるという「社会的正義」への要求は、社会主義のすべてがそのうえに立脚する基盤である。しかし、それは、個人が自らの知識を自らの目的のために使用する、開かれた社会とは相いれない、先祖がえりの要求である。(邦訳p.105)

 知覚された必要ではなく抽象的な価格シグナルに導かれることに身を委ねたときに、一人の人間の努力はより多くの人びとに利益を与え、総じてより多くのニーズを満たすという認識、さらにこうした手段によってわれわれは、個別的事実の大部分についての本性上の無知をもっともよく克服でき、何百万もの個人のあいだに広範に分散している具体的な状況にかんする知識を最大限に利用できるという認識は、アダム・スミスの偉大な功績である。(邦訳p.105)

【コメント】