Five Solas

主なる神の言葉である聖書を、あらゆる事柄に関する最高権威、人生における規範とし、イエス・キリストを主とする神の国(支配)の拡大と完成を願っています。

Friedrich August Hayek The Fatal Conceit Appendix D

Friedrich August Hayek The Fatal Conceit Appendix D
【関心・疑問】

【論文名】
補遺D 疎外、落伍者、寄生者の要求

【著者名】
Friedrich August Hayek (渡辺 幹雄訳)

【書名・(巻・号)・出版社・出版年・(版)】
W. W. Bartley III (ed.), The Fatal Conceit: The Errors of Socialism, The Collected Works of Friedrich August Hayek; v. 1, London: Routledge, 1988, pp.152-153
(『致命的な思いあがり』ハイエク全集; 第2期第1巻, 東京: 春秋社, 2009年, pp.224-226)

【本文の構成】
序論 社会主義は間違いだったのか?
第1章 本能と理性のあいだ
第2章 自由、所有、そして正義の起源
第3章 市場の進化――交易と文明
第4章 本能と理性の反逆
第5章 致命的な思いあがり
第6章 交易と貨幣の神秘的な世界
第7章 われわれの毒された言語
第8章 拡張した秩序と人口増加
第9章 宗教、伝統の守護者
補遺A 「自然的」対「人工的」
補遺B 人間の相互作用の諸問題の複雑さ
補遺C 時間、構造の発生と複製
補遺D 疎外、落伍者、寄生者の要求
補遺E 遊戯、ルールの学校
補遺F 人口の経済学・人類学についての覚えがき
補遺G 迷信、伝統の保存

【内容の要約(ページ数)】

【引用したい文章(ページ数)】
 3. 社会主義は多くの人たちに対して、あなたがたは働きとは無関係に、また関与とは無関係にあれこれの要求権を有すると教えてきた。文明の拡張した秩序をもたらした道徳に照らせば、社会主義者は事実、人びとが法を破るようにそそのかしているのである。(p.153; 邦訳p.225)

 そのたいていが明らかにまったく親しんだことのないものから「疎外」されたと主張し、自分たちが貢献を拒んだ過程の成果を食いつぶしながら寄生的落伍者として生きることをよしとする人びとは、自然に帰ることを求めるルソーの訴えのまことの信奉者であって、人間の協同の秩序の形成を可能にした諸制度を主要な悪と評するのである。(p.153; 邦訳p.225)

 私は、文明から自発的に身を引く個人のどんな権利にも疑いを差しはさんでいるわけではない。しかし、その種の人びとはどんな「権原」をもっているのか。われわれはかれらの隠遁生活に補助金を出すべきなのだろうか。文明によって立つルールを免れる権原はけっしてありえない。われわれは弱く障害のある者、ひどく若い者、老いた者を助けることができるかもしれないが、それは健常かつ成人の者が、そうする手段を与える非人格的な規律に従う場合にかぎられるのである。(p.153; 邦訳p.226)

【コメント】
 キリスト者は聖書的なものと非聖書的なものを識別することを求められている。その上で、聖書に反する部分は受け入れない一方で、反しない部分については、相手の立場を考慮しつつ、検討すべきであろう。
 ハイエクは、道徳、慣習、法、市場、言語といった社会的な制度について、本能によってもたらされたものではなく、また理性によって作為されたものでもなく、長い歴史の中で徐々に自生的に進化し、成ったものであると考える。この点に関しては受け入れることは出来ない。
 とはいえ、ハイエクの学説全体を遮断し、無視すべきではない。社会主義福祉国家の路線の誤りが明白になった今、聖書的な経済政策とは何かを考えるにあたって、ミーゼスやハイエクといったオーストリア学派の経済思想から学ぶべきことは多い。