Five Solas Ministry

主なる神の言葉である聖書を、あらゆる事柄に関する最高権威、人生における規範とし、イエス・キリストを主とする神の国(支配)の拡大と完成を願っています。

飯山『アメリカ福音派の変容と政治』p.85

飯山『アメリ福音派の変容と政治』p.85
【関心・疑問】

【論文名】
第2章 福音派の形成とリベラリズムへの反応

【著者名】
飯山 雅史

【書名・(巻・号)・出版社・出版年・(版)】
アメリ福音派の変容と政治――1960年代からの政党再編成』名古屋: 名古屋大学出版会, 2013年, pp.61-115

【本文の構成】
第1章 先行研究と分析の枠組み
 第1節 宗教と政治の関わりに関する先行研究
 第2節 統合モデル
 第3節 宗教への帰属と福音派の定義
 第4節 政党再編成理論
第2章 福音派の形成とリベラリズムへの反応
 第1節 福音派の形成
 第2節 リベラリズムの拡大と福音派の反応
第3章 福音派と政党対立構造の変容
 第1節 1960年代の政治変動と未完の政党再編成
 第2節 宗教右派運動と政党再編成
 第3節 イデオロギー対立の激化と福音派の新たな変容
第4章 政党再編成――イデオロギー争点の形成と福音派の変容が生んだ政党支持基盤の変化
 第1節 争点と政党再編成
 第2節 福音派の変容と政党再編成
 第3節 3つのBによる統合分析
第5章 福音派変容のプロセス――世代交代によって変化した政党支持傾向
 第1節 問題の設定と仮説
 第2節 世代交代と転向による変化
 第3節 福音派の新たな変容
結論
 第1節 まとめと結論
 第2節 今後の展望
補論1 プロテスタント教派の歴史と分類
補論2 変数の説明

【内容の要約(ページ数)】

【引用したい文章(ページ数)】
 それは、福音派に流れ込んだ三つの潮流が、いずれも19世紀から強い民主党支持勢力だったからである。南部バプテスト連盟を含め、福音派の主要教派は南部が拠点である。その南部は歴史的に民主党支配下にあったため、福音派の大多数の信徒は民主党の支持者だった。一方、19世紀の移民は米国の主流文化に溶け込むのが難しく、彼らに政治的庇護を与えた民主党の忠実な支持者となっていた。さらに移民系教派や、ホーリネスやペンテコステも、圧倒的に貧困層が中心で民主党支持が強かった。そして、貧困層民主党の絆は1930年代のニューディール政策で、さらに深まっていたのである(Wald, 2003, p.204)。(p.85)

 福音派イデオロギー的な保守性は、本来、共和党支持を生み出していたはずである。しかし、共和党原理主義論争や進化論論争を利用して、宗教伝統主義者を同党に動員するような政治運動を起こさなかった。この結果、福音派各教派が歴史的に持っていた民主党への親近感には変化が起きなかったのである。逆に言えば、保守的な福音派は、支持政党、つまりリベラルな民主党との間で深刻なイデオロギー矛盾を抱え込んで出発したと言うことができるだろう。(p.85)

共和党支持の主流派

 これに対して、宗教的には近代主義の側に立った主流派は、政党支持では明白に共和党寄りだった。これも、19世紀の共和党が、社会のエスタブリッシュメントである北部白人プロテスタントを基盤にした政党だったという歴史的背景によるものである。当時の主流派とは、この北部白人プロテスタントそのものであり、その政党支持傾向は、この時代も変化がなかったのである。(p.85)

【コメント】