Five Solas Ministry

主なる神の言葉である聖書を、あらゆる事柄に関する最高権威、人生における規範とし、イエス・キリストを主とする神の国(支配)の拡大と完成を願っています。

森井『ジャン・カルヴァン』pp.143-144

森井 眞『ジャン・カルヴァン――ある運命』東京: 教文館, 2005年, pp.143-144

「もとより生身の人間は、カルヴァンも含めて、さまざまな欲望や煩悩を抱えて生きている。しかしそんな自分を見詰めそんな自分と付合いながらなお、人生を生きる第一の目標または課題として、真理を求めることあるいは神に仕え神の栄光を現すことと、自己の完成を求めて生きること。そのように思い定めて生きる生き方は、世を捨てた修道士あるいは使命感に駆られ真・善・美の魅力に憑かれた芸術家・学者・研究者などでもない限り、よほどの決意と努力を要することであったにちがいない。キリスト教が深く根を下ろしていたといってもそれは心の一部を占めていたにすぎず、ジュネーヴ市民の多くは商業その他のなりわいに従事して利を追求しながら生きているのだが、カルヴァンがかれらに求めようとするのは、その利の追求をも神の栄光をあらわすための働きとして自覚し、人生の意味そのものを問い直すことにほかならない。カルヴァン宗教改革は、カトリック典礼や慣習の形をプロテスタント風に変えるというようなことではない。神信仰をとおして、おのが良心に鋭く目覚め、他者実現的に生きる人間に変ることである。それは人間の在り方全体の変革であり、内的な『革命』と呼ばれるにあたいすることであろう」