Five Solas Ministry

主なる神の言葉である聖書を、あらゆる事柄に関する最高権威、人生における規範とし、イエス・キリストを主とする神の国(支配)の拡大と完成を願っています。

森本『反知性主義』p.151

森本 あんり『反知性主義――アメリカが生んだ「熱病」の正体』新潮選書, 東京: 新潮社, 2015年, p.151

〈引用〉
 その代わり、彼らは説教者となる訓練や準備を受けたこともなく、本を読むようなゆとりもない。仲間に認められてその教会の牧師になるだけなので、牧師の肩書きはすぐ隣の教会でも通用しない。これを「各個教会主義」とよぶ。だから彼らは、たとえ同じバプテストという名前をもっていても、自分の教会の外から干渉されるのを好まず、中央からの統制を思わせるようなことには同意しない。自分の知らない中央からの権威は、教会であろうと政府であろうと、認める理由がないのである。ここにも、ラディカル・セクトの遺伝子が生きている。
 アメリカ人の心に通奏低音のように流れる反権威志向は、このようなところから養分を得て根を張っている。彼らは自分で聖書を読み、自分でそれを解釈して信仰の確信を得る。その確信は直接神から与えられたのだから、教会の本部や本職の牧師がそれと異なることを教えても、そんな権威を怖れることはない。よく言えば、これが個々人の自尊心を高め、アメリカの民主主義的な精神の基盤を形成することになるのだが、悪くすると、それはまことに独善的で自己中心的な世界観に立て籠もる人びとを作ってしまう。アメリカの反知性主義は、そのどちらにも発展する芽をもっている。